司法修習生に対する給費制廃止に伴う市民連絡会声明

本日(11月1日)、司法修習生に対する給費制が廃止され、貸与制を導入する改定裁判所法が施行された。

「司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会」は、本年6月に設立して以来今日まで、日弁連や、次代の法曹を担う若者たちで組織する「ビギナーズ・ネット」とともに、給費制の維持・継続を求めて国民の理解を得るべく運動を展開し、各政党や国会議員に対し今臨時国会での速やかな法の施行停止を働きかけてきた。給費制の廃止は単に法律家や法曹を目指す人びとだけの問題ではなく、国民生活に大きな影響を及ぼし、法治主義の根幹を揺るがしかねない問題を含んでいるからである。

この間、われわれの呼びかけに応えて全国から寄せられた賛同団体署名は810団体・組織に及び、給費制の維持継続を求める請願署名も60万筆を超えている。また、与野党をこえて国会議員の理解も広まり、衆議院、参議院ともに多くの議員が給費制維持に賛同の意向を示してくれている。このことは、多くの国民が司法修習生に対する給費制の維持・継続を求めている証左といえよう。にもかかわらず国会では、政党間の思惑や調整の遅れによって、方針が定まらぬまま時間切れの形で今日を迎えてしまったことはきわめて遺憾である。

しかしわれわれ市民連絡会は、法律は施行されたとはいえ、今臨時国会において再改定し、給費制を維持・継続することは十分に可能だと確信している。

もとより国の財政が困窮していることを理解しないでもない。しかし歳出削減を急ぐあまり、司法修習生に対する給費制を廃止することによって教育の機会均等を妨げ、青少年の夢を摘み取り、市民感覚・庶民感覚からかけ離れた裁判官や検察官、金儲け主義に陥る弁護士などを数多く輩出させたのでは、まさに法治国家の揺らぎにもつながりかねない重大事である。このように多くの問題を内包する法律は、何としても今臨時国会で再改定し元の姿に戻すべきである。市民連絡会は日弁連やビギナーズ・ネットと力を合わせ、司法修習生に対する給費制の維持・継続を求めて、さらに運動を継続して行く。

平成22年11月1日

司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会

代表幹事 笹森 清(労働者福祉中央協議会)
清水 鳩子(司法に国民の風を吹かせよう実行委員会)
本多 良男(全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会)
副代表幹事 山口 二郎(北海道大学教授)
青山理恵子(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会
事務局長 菅井 義夫