メルルのアトリエ アーランドの妹錬金術士
稀代の錬金術士登場




 ロロナのアトリエまでやってきました。
 「トトリのアトリエ」の時にも思っていたけど、結構外観ボロボロだよね・・
 壁にひびが入ってるし・・・

 アトリエの中に入ると最初に目にしたのは錬金釜。
 「トトリのアトリエ」の際に、トトリのために錬金釜を増やしたため2つある。

「ささっ、ナナちゃん、そこのソファーに座ってて!」

 そう言ってロロナさんは奥の部屋へとはいって行った。
 ゲームだと手狭に見えたけど結構広いかも?

「んー、ロロナ帰ったのかー?」

 その時、ロロナさんが入った部屋とは別の部屋から声がして、振り返るとその人物が出てきた。  偉大なる錬金術士にしてトラブルメーカー、アストリッド様だ。
 まさか、いるとは思っていなかった。

「ん。誰だ?」
「あ、あの今日からお世話になります。錬金術士志望のナナ・スウェーヤです」

 椅子に座りかけた私は慌てて立ってアストリッド様に挨拶をする。

「んーそういえば、ロロナがそんなこと言っていたな」

 今まで寝ていたのか小さく欠伸をする。

「あ、あの偉大なる錬金術士のアストリッド様ですよね。お会いできて光栄です!」
「ほほぅ、私のことを知っているのか」
「はい!錬金術を知る上でアストリッド様の名が出てこないはずがありません!」

 実際に、アストリッド様がいなかったら、今のロロナもトトリもいないのだ。
 アトリエシリーズのザールブルグの錬金術士だとアカデミーとかあって学ぶ人、知る人多そうだけど、なんでここでは3人しかいないのだろうか。

「あ、師匠、いたんですね」
「なんだ、ロロナ、その言い方は。ちょっとはその子を見習ったらどうなんだ?」
「あー、師匠!ナナちゃんをいじめてたんじゃないでしょうね」
「全く人聞きの悪い。むしろ友好な関係が気づけそうなところだったのだぞ」

 戻ってきたロロナさんとアストリッド様は口論を始めた。
 ロロナさんは奥にお茶を取りに行っていたようだ。

「師匠も飲みます?」
「あぁ、もらおう」

 それを聞いてロロナさんは3人分のお茶を入れていく。
 あれ、このお茶って・・

「黒の紅茶・・・?」
「ほぅ、よく知っていたな」
「あ、はい。名前だけですけど」

 黒の紅茶は錬金術で作ることができる紅茶だ。
 低い錬金術レベルで行使できるけど、確か使用する水の品質が高くないと苦くなってしまうはずだ。

 カップを受け取り一口飲んでみる。

「あ、おいしい」

 初めて飲んだけど、ほどよいうまみがある。
 最初は紅茶と言ったもののすごく黒いのでコーヒーのことだと思ったら、香りや味は紅茶っぽい。

「ロロナ、この子を弟子にするのか」
「うん、一応ね。独学で勉強してたけど手詰まりになったんだって」
「ほほぅ、独学とな。何が作れるのだ?」
「えと、中和剤とヒーリングザルブ、それから手作りパイだけです」

 実は中和剤とヒーリングザルブは実物を持ってきていたのだ。
 肩掛けのバックから二つのビンを取り出して二人に見せる。

「結構いい品質だな」
「これ、独学で作ったんだー・・」

 二人はビンの色や中身を取り出してみてみる。

「実は、この本を使って勉強していたんです」

 そう言って、2人の前に「初級錬金術」の参考書を出す。
 そう、アストリッドからロロナがもらって使用していた本だ。

「あっ、その本って!」
「はい、たぶんロロナさんの本です」

 そう言って、裏表紙を開きお二人に見せる。
 もちろんそこには、2人の名前が記載されていた。

「どういった経緯かわかりませんが、私の出身国アールズの古本屋に売っていたのですよ」
「確か、ロロナが金欠で売っぱらってなかったか」
「う・・」

 2人の間に変な沈黙が下りる。

「でも、私はその本があって本当に助かったのですよ。いうなれば、正式ではなかったですが二人の弟子のようで」

 実際に参考書には、材料や作成方法だけでなくアドバイスを含む数々のことがのっていたのだ。
 材料と作成方法だけで作成できるなんて、本当に天才か時間をかけないと無理である。

「何か作ってみたいものがあるのか?」
「えと、お姉ちゃんの手伝いが出来そうなものであればなんでも・・あっ、だけどトラベルゲートを早く作りたいです。だってお姉ちゃんに早く会えるようになるもん!」

 トラベルゲート。
 ゲームでは戦闘中以外であればどんな場所からでも「アトリエ」に時間掛けることなく帰還できる錬金術で作成した道具である。
 一応アールズの私の家には簡易ながらも私のアトリエがあるから使えるはずだ。
 そして、アーランドにもアトリエを作っておけばいつでも行き来できるようになる。

「くっくっく。面白い」

 いきなりアストリッドが笑いだしたかと思いきや、すごーく邪悪な笑みを浮かべていた。

「おい、ロロナ、こいつを私の弟子にするぞ」
「え!」
「し、師匠!だめですよ!ナナちゃんは私の弟子になるんですから」
「だから、私たち2人の弟子にするのさ。面白いとは思わんか」

 ニヤッとしてアストリッド様はロロナさんを見る。
 いや、やる気になっているアストリッド様から教わることができるのであれば、鬼に金棒な気はするけどね・・
 嫌な予感しかしないのですが・・・

「おい、ナナと言ったか。今日から私のことはお姉さまと呼べ!」
「あ、ずるい、お師匠!ナナちゃん私のこともお姉さんって呼んで!」

 特にロロナさん、もといロロナお姉ちゃんにも反論はなかったのだろう。
 二人のお師匠様か・・

「よろしくお願いします!アストリッドお姉さま!ロロナお姉ちゃん!」

 こうして私は二人の魔女に弟子入りした。








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