メルルのアトリエ アーランドの妹錬金術士
ある日の日常Bお姉ちゃんと一緒に古本屋の前に来るとメルルお姉ちゃんが仁王立ちしていた。 「遅かったね。二人とも」 確かに200人くらいしかいない小さな国で古本屋も一つしかないけどさ。 来たかったらここで待ちぼうけしないで最初から一緒に来たらよかったのに。 何があったのかすごくニコニコしてるメルルお姉ちゃんが傍まで駆け寄ってくる。 「あら、メルル。あなたまたルーフェスさんとのお勉強サボったのね」 ルーフェスお兄ちゃんはメルルお姉ちゃんの家庭教師まで行っているのだ。 「ふっふふーん。今日は違うわよ。今日はルーフェスから任務を任されたんだから」 「任務??」 お姉ちゃんが首を傾げる。 うん、かわいい。 「なんかさ、ナナちゃんに興味があるらしくて、今日どんな本を購入するか見てきてほしいって」 「ルーフェスさんがナナに・・?」 お姉ちゃんが首を傾げながら私を見る。 というかメルルお姉ちゃん、任務なら他の人に言っちゃだめなんじゃない?しかも私のいる前でさ・・・ 「ナナ、ルーフェスさんに何かやったの?」 たぶん、というか絶対昨日のことだろう。 5歳で行う範疇を超している。たぶん、あの読めない字、日本語の絵本も興味を持ったと思っただけでなく、もしかしたら読めるのではないかと感づいてるのかもしれない。 「な、なにもやってないよ。昨日ルーフェスお兄ちゃんと話してて、お古の本を誕生日プレゼントでくれるって話をしてただけ!明日ルーフェスお兄ちゃんの家に行くんだよ!」 これ以上他の人にも怪しまれないように余計なことは言わないに限る。 「えっ!?ルーフェスの家に行くの?普段どんなことしてるのか気になるし私も行っていい?」 あまり深く考えていなさそうなメルルお姉ちゃんが聞いてくる 「私はいいと思うけど、明日執務室で待ち合わせだからその時に聞いてみたらいいんじゃないかな」 「うん、そうしてみるよ」 そう言って、メルルお姉ちゃんは私とお姉ちゃんの手を取って古本屋へと引っ張っていく。 「いらっしゃい」 中に入ると近所のおばちゃんがいた。 まぁ、人の数からいっても知人のエンカウント率は高いけどね。 「おや、3人でここに来るのはめずらしいね」 「えへへー。今日はお姉ちゃんと本を買いに来たの」 「そうかいそうかい、ゆっくり見ていきなさい」 ちょうど本を読んでいた途中なのかおばちゃんは本に視線を戻してしまった。 さて、どんな本を買おうかしら。 ルーフェスお兄ちゃんに怪しまれているとはいえ、こんな機会はめったにないため素直にほしい本を買いたいところだ。 特にお姉ちゃんたちは本を買いに来たわけではないけど各々趣味のジャンルがある場所に分かれていった。 私もしばらく見ていくと2つほどほしいものが出てきた。 1つは日本語で書かれた本で他愛もない料理の本だ。 但し、こちらは写真付きであるためか、読めない本ではあるが高い。 銀貨1000枚と持ち合わせの5倍であるため断念した。 ちなみにこの時点では日本語で記載された本は他にはなかった。 もう一つは「初級錬金術」という参考書。 裏表紙を開いたところに二つの名前が記載されていた。 ロロライナ・フリクセル アストリッド・ゼクセス ロロライナ、通称ロロナは「ロロナのアトリエ」でお馴染みの主人公だ。 こちらでは最近だと稀代の錬金術士としてアーランドで名を馳せているはずだ。 アールズでは一部情勢に詳しい人なら知っているかもしれない。 そろそろ、未来のメルルお姉ちゃんの先生であるトトゥーリア・ヘルモルト、通称トトリを弟子にするのではないだろうか。 そしてアストリッドはロロナの先生に当たる。 アーランドの錬金術士においては最高の錬金術士ではないだろうか。性格に問題があるようですが・・・ この本はアストリッドが弟子であるロロナに最初に送った錬金術の本でないかと推測する。 なぜ、このような場所にあるのかは不明だけど、かなりほしい。 ゲームでは、作りたい調合アイテムを選んで、さらに材料を選ぶと日数とMPを消費して勝手に作ってくれる。 だけど、作る過程はわからないのだ。 さらに他のアトリエシリーズを考えてみるに、全ての調合が錬金釜で作られるはずはなく、器具が必要になると思うしね。 流石に高度な錬金術については誰かに教わったり基盤となる部分を理解してないと難しいと思うけど、この「初頭錬金術」の本は絵付きであるため一人でもできるのではないだろうか。 記載されている内容は「ゼッテル」「中和剤」「錬金炭」。 パラッと見たところ、どれも錬金釜は必要なくできるのではないだろうか。 私的にはトトリかメルルお姉ちゃんが最初に受け取る参考書がほしかったが贅沢も言ってられないだろう。 あれには回復アイテムであるヒーリングサルヴの作成方法の記載があったはずだからほしかったのだけど。 価格は銀貨100枚。 よし、買おう! もう一つは魔力制御に関する本を購入する。 一応以前は魔法を行使する人がそこそこいたため、世界的にはたくさんある分野の本、しかも初歩の初歩。 今では未知なる道具、機械によって繁栄してきたため魔法を使う人は稀なんだけどね。 銀貨60枚だった。 「お姉ちゃん!この2冊がほしいー!」 お姉ちゃんの傍までいって2冊の本を渡す。 「どっちも難しいそうな本だけど本当に読めるの?」 「うん!」 まぁ、確かにお姉ちゃんたちには難しいかもね。 メルルお姉ちゃんもいつの間にかやってきて2冊の本の題名をメモしている。 冗談かと思っていたけど一応、任務続けてるのね。 お姉ちゃんはあまり難しく考えることなくおばちゃんのところに購入に行った。 その日帰った後は暗くなるまで購入した本を読み耽った。 錬金炭は家計にもいいし、早めに作れるといいなー。。 前へ 目次 次へ |