Ni - MH 充電池についてまとめておく

(1)構造
@多孔水酸化ニッケルの正極、ポリプロピレン、ナイロン不織網のセパレータ、多孔水素吸蔵合金 ( metal hydride ) の負極のサンドイッチが、らせん状に巻いてあり、ガスケットで封入してある。

A水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液がセパレータに含浸してある。

Bイオン化傾向は、水酸化ニッケルが + 0.52 V、水素が − 0.8 V で、差の 1.32 V が理論上の起電力で、出力として公称 1.2 V となっている。

C充放電のしくみは、H+ の蓄積、放出として説明されている。
充電時は、正極から H+ が放出され、負極の水素吸蔵合金にため込まれる。放電時はこの逆。

D正極面積が小さくしてあり、先に充電 ( H + の放出 ) が終わると、過充電となり酸素ガスが発生するが、面積の大きい負極の水素と還元中和され、ガス圧は一定に保たれるため密閉できる。
万一、ガス圧が 5 kgf 〜 10 kgf /cm^ 2 ぐらいに上昇するとガス排出弁からリリーフされる。



(2)特徴

@500 回以上の充放電ができる。( 使用条件によるので当てにならない )

A大電流が放電でき、内部抵抗が小さく放電電圧が一定である。

B容量の mAH の表示ができ、使用電流によって動作時間が計算できる。

Cカドミウム、水銀は一切使用されていない。

D電解液が水性で、リチウムイオンのように有機溶剤でないため、火災に対して安全である。

E自己放電が大きく、満充電 ( 1.37 V くらい)後 6 ヶ月で 1.3 V を切る。
使う前に充電するのが経済的である。

FSW 切り忘れによる過放電では、転極し、ガス圧が上昇して液モレを起こす。

G電池を使い切らずに充電すると、、充電後の電圧が低下するメモリー効果現象が起こる。
1 〜 2 回の深い放電 ( 1.0 V の放電終止電圧まで放電 ) を繰り返すと解消できる。



(3)充電方法

−Δ ピーク検出急速充電が一般的である。
充電電流 Ich と充電電圧 VB の例

@初期充電は、0.2 〜 0.3 I t ( I t とは電池容量 2000 mAH の 2000 mA をいう )

AVB が 0.8 V になると 0.5 〜 1.0 I t の急速充電に切換える。

B最初の 5 〜 10 分間は、偽似−Δピークが出ることがあるが無視する。

CVB が 1.8 V になると、1 / 30 〜 1 / 20 I t のトリクル充電に切り換える

DVB が 1.8 V 未満でも、−Δ ピーク ( 5 〜 10 mV ) を検出すると、トリクル充電に切り換える。

Eトータル時間タイマ ( 1 〜 2 時間 ) で充電終了とする。




(4)あれこれ

@電圧が 1.2 V ( 充電後は 1.3 V 以上ある ) なので、IC 回路 ( 2.5 V 〜 ) がギリギリの場合があり、動作しなくなることがある。
電池 2 本のときが顕著。
アルカリ電池を使用してもらうか、昇圧 IC ( 1.2 V → 3.5 V ) をかませる。

Aプラレールのモータは、1.5 V アルカリ電池を使用としているが、NI- MH では、最初はアルカリに比べて少しトロイが、途中からはアルカリ電池より電圧が上回り、1.2 V 台が終わりまで継続するので長時間遊ぶことができる。
急に力がなくなるので、終了時期がすぐわかる。


Panasonic 資料より


BSW 切り忘れの場合、過放電により電圧が低くなりすぎて、専用充電器が受け付けないときがある。
別の電池で 1 〜 2 分充電して端子電圧が 1 V ぐらいにしてやると受け付けるようになる。

ママにやってもらうには、ゼムピン 2 本で同極同士をくっつけると教える。
ついでに、アルカリ電池を 1 〜 2 cm の高さから机面に落とし、垂直に立たなくなったら容量が空っぽであることも教えてあげる。
ガス圧で底が丸くふくらむからだね。


C「充電式電池を使用しないでください 」 と指定がある意味
☆@項の IC 動作電圧が足りない。

☆1.5 V 用モータなので、動かない又はトロトロしか動かない。

☆「過電流による電線保護をしてません 」 と言ってるので、電源電線が細い場合、ポリ SW をつけてやるのがいいだろう。

D専用急速充電器では、充電終了時に電池が 45℃ ぐらいになり、電圧も 1.4 V を超えるときがあるが正常範囲内である。

E充電器も自社の電池に適合した緻密な作りに進化し続けており、他メーカと組み合わせると、警告が出たり、なかなか充電が完了しないなどが起こる。
他メーカで充電できても、おもちゃ病院としては、20 分で切るようにしておく。
充電器を購入されるときは、1 本ずつ独立に LED の状態表示のあるもの、継ぎ足し充電に対応しているものを勧める。

F液モレはアルカリ電池と違い、+極側に出てくる。

Gラジコン車での問題
力がなくなるとすぐ充電することを繰り返すと、メモリー効果でどれかが満充電できなくなったりする。
受信制御電圧も危うくなり、動かない、誤動作するなどの症状が出る。
車体に 3 本のときが顕著で、4 本以上は症状が出にくい。

一般家庭で、コレを解消するには
・送受信機とも新品のアルカリ電池に交換して動けば、コレのせい。
・コレのせいだとわかれば、電池式ヒゲソリなどモータ使用製品に入れて動かなくなるまで運転後、充電してもらう。
・モータ使用製品がない場合、キッズランドなどで、マブチ FA-130 を 2 個購入し、パラにして電池にテープ止めして運転してもらう。
・マブチ FA-130 は、0.5 V ぐらいで回らなくなるので、ちょうどいい。
・+−を短絡して放電するのは、絶対ダメと念を押しておく。

・充電池を今後使用するのであれば、充電状態や残量のチエック、仕分けなどをするのにテスターが必要なので、デジタルテスターの購入を勧める。
・一家に一台をご希望なら三和 PM 3( Amazon で¥2600 送料 0 )を勧めるが、格安だと Amazon で WJ ¥670 送料 0 がある。










(5)参考資料

Panasonic Ni - MH 資料 ( 2014.03.31 サイトリニューアルとなり、アクセス不能 )
Ni - MH の概要
Ni - MH の 5 大特性
Ni - MH の充電方法
2015.04.30 上記 3 資料のアーカイブは、
Ni - MH の概要
Ni - MH の 5 大特性
Ni - MH の充電方法


JIS C 8708 : 2013 密閉型ニッケル・水素電池

Ni-CD、NI-MH 充電コントローラ MAX 712 / 713 データシート



(6)DigiQ NI-MH 交換準備
互換電池の 2S-80AAA が入手できなくなったので、別の NI-MH を検討しておく。
2014.11.17 購入先の Flying Cat を見たら、入手がまたできるようになったので、この検討は保留する。

(1)候補電池との寸法比較

候補電池は、RS ( RSオンライン ) の 525 - 837 ( N11BUQ1-007 )
2.4 V 80 mAh Ni-MH _ @¥270
CHARGE _ 8 mA _ 16 h とある。

すこし大きいので、BODY を前後方向に 2.3 mm 拡大、基板を上方向に 2.2 mm 移動が必要



(2)BODY の改造

この BODY の場合、@でカットし、BODY と底板に 2.3 mm 中間継ぎ足しが必要

Aの赤外ユニットを取り付けるマウントを 2.2 mm 削り、基板の下に 2.2 mm スペーサをかませ、基板を上に上げる。







  基板に充電用電極がついているので、延長などが必要になる。



(3)BODY の改造で収納できないとき
100 均で 4 台入りのチョロ Q の BODY に組み付ける。

後輪と充電マウント用角穴関係の寸法厳守。


(4)大型 BODY に組み付ける場合、電気二重層コンデンサも可能性がある。
C ( F : ファラッド ) × V ( ボルト ) = Q ( クーロン ) = I ( アンペア ) × t ( sec )
2.5 V 10 F で 充電 を 0.5 A とすると 50 秒、0.2 A 負荷 で 2 分ぐらい期待できる。

φ 12.5 × 25 @¥270
25 F だと、φ16 × 25 @¥500


160 電気二重層キャパシタ で検討したが、代替は無理である。












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