ゼロの使い魔 ハルケギニア南船北竜
第七十四話「相談事」




 数が揃わないと売り込みにも困るかと、大砲の事は一時忘れて専門家たるフロランに任せ、リシャールは庁舎で財務状況の整理をしていた。
 管理が行き届いている税収はともかく、それ以外の要素が収入支出ともに複雑化しすぎて、把握できなくなっていたのである。
「黒字……ですか?」
「はい、リシャール様」
 数日前にマルグリットに一任して、ラ・クラルテ商会までひっくるめた収支を出すように命じていた報告書が、今日になって上がってきたのだ。赤字を覚悟していたにも関わらず黒字となっていることに、リシャールは驚いていた。
「ご領地の税収入のみを考慮いたしますと、赤字と申し上げても間違いではありませんわ。……残念ながら。
 しかし、商会の方は順調です。
 製鉄所は四つめの炉が出来て以来、街道工事の費用を全て飲み込んでも十分な黒字を維持していましたし、加工場の方も規模の割に儲かっていないというだけで、損はしていません。
 武器工場は売り上げのないまま工員に給料だけが支払われていたこれまでと違いますし……」
「確かに武器工場は、実働までは長期に渡って商会の負担になっていましたね」
「ここしばらくでの大口の支出についても、工場の機械類や別邸に関しては、リシャール様が刃鋼を売られた代金でほぼ相殺されていますし、先日の園遊会やアルビオン視察団歓待の費用は、同じくリシャール様が王都で武器の在庫の半分を売るよう指示なさいましたので、庁舎やお城の予算から流用して用立てるようなこともありませんでしたし、大幅な余剰すら出ています」
「なるほど……」
「平常の会計の方ですが、商会の黒字分から子爵家の赤字分を差し引きをしますと、先々月は二百エキュー弱、先月は六百エキューほどが余剰金として残りました。
 もちろん、こちらは特別な収入や支出を除いたものですわ」
 綱渡りと言うほど厳しくはないが、園遊会に絡んだ費用をなんとか出来たことを喜ぶべきか、年末の借金返済に充当出来なかった事を悔やむべきか、少しばかり微妙な心境でリシャールは頷いて見せた。
「問題は、領地の体質が常に赤字の方を向いているということ、ですね」
「はい。
 お城、庁舎、領軍。
 ……これらの維持費は、月々の収入を上回るほどの金額を必要としています。
 ただ、処理せねばならない仕事の量を考えるならば、人手を減らすことも出来ませんわ。
 お城はお世継ぎがお生まれになってからは今以上に忙しくなるでしょうし、庁舎も領軍も、現在は人手不足を慣れで解消している状態です」
 商税の他にも、建物の賃貸料、入漁権などの細々とした収入はあるが、とても追いつかないのが現状であった。特に高額になりがちなメイジへの手当が圧迫している。だが彼らの力が無くては、セルフィーユの発展が停滞することも間違いなかった。
 年明けに領民よりまとめて徴収される領税は金額こそ大きいが、王政府へとリシャールが納めねばならない税の額を考えるならば、手元に残る金額は少ない。
「商会のことを切り離して考えることも難しいですが、少し手を打たないといけませんね。
 ゲルマニアにも正式に話が通りましたから、市場の方をなるべく早めになんとかしたいものですが……」

 リシャールは街道の工事を命じられて以来、セルフィーユを市場目当てに海路や街道を通して集まる商人に取引の場として提供し、代わりに商税収や各種手数料を収入として得るという、中継貿易による領地経営の安定化を目標にしていた。マザリーニの言うトリステイン北東部の中心としての役割を満たし、なおかつ街道を使って利益を誘導しようと考えたのだ。我田引水も甚だしいが、資金を出しているのはこちらなのだから、それぐらいの役得は構うまい。お墨付きも出ている。
 当初の製鉄と鉄製品を領地の主産業とする計画は平行して行われていたが、少し意味合いが代わってきており、内容にこそ変更はなかったが、現在では街道工事の費用を捻出するための事業という位置づけになっていた。
 今のところ、セルフィーユには以前に比べて寄港する船も増えていたし、領内に限っては良道も敷かれており、人口も未だ増加の傾向にあったが、トリステイン北東部を完全に巻き込んでいるとはとても言えなかった。

「しかし、街道が出来る前に市場や倉庫街だけ用意しても無駄になりますから、難しいところですわ。
 露天市場は今でも大きいぐらいですから、しばらくは現状を維持する方が手間が少なくて助かります」
「先んじて手を打ちたいところですが、街道の工事が先でしょうね。
 しかし、今のセルフィーユでは、専売契約をしているセルジュさんはともかく、大手の商会がこぞって事務所や店を出すには、今ひとつ魅力に欠けると思います」
 露天市場の方は、リシャールの故郷であるアルトワに倣って設置したものだ。新市街と旧市街の間にあった未利用の区画を幾つか潰し、煉瓦を敷き詰めて広場を作っただけの簡単なものである。
 先日の祭りは特別としても、普段は賑わっている時でも区画の五割も埋まれば良い方だった。しかし、行商人から得られる税も含めた露天の賃料やギルドへの上納金、宿屋などに落としていく宿泊費や酒代は大した額にはならなくとも、人を集める上で、彼らは無視し得ない要素であった。彼らが扱う品物は千差万別で、量は少なくとも品数が豊富なのだ。
 セルフィーユでなくとも、生活必需品や比較的必要とされる消耗品類はリュカの店に代表されるような常設の商店が普段から扱っているが、地方の特産品や珍品、掘り出し物、いつ売れるともわからない奢多品などは、行商人まかせになる。更には荷物の他にも噂話なども運んでくるから、時には相場を上下させる影響力さえあった。
「そういえばマルグリットさん、余剰金の総額は今、いかほどですか?」
「八千エキューほどになりますわ。
 前年度の領税の繰り越しは、街道工事の不足分や感謝祭などに割り当てましたので目減りしておりましたが、園遊会の時にお売りになられた武器の代金が大きかったので、関連費用を差し引いてもかなりの金額が余剰金に充当されることになりましたわ」
「八千……。
 思ったよりも大きい金額ですが、年末の返済を考えると微妙ですね」
 リシャールが年末までに用意すべき金額は総額四万エキューであるから、あと四ヶ月以内に余剰金を三万二千エキューほど積み上げなければならない。それでも昨年よりも余裕が感じられるのは気のせいではないだろう。
「総括いたしますと、商会まで考慮すれば全体としては些少ながら黒字傾向ですが、領地の経営自体は更なる改善が必要かと思われます」
「ええ、報告書の作成、ご苦労様でした」
 マルグリットを送り出してから、改めて報告書を眺めてみる。
 次年度以降にかなりの期待は出来るが、投資や出費が大きすぎた点は反省すべきかもしれない。
 ここが踏ん張りどころかと、短期的な収入源を模索する為に、リシャールは頭を捻ることにした。

「ただいま、カトレア。
 ……ん? 手紙?」
「おかえりなさい、リシャール。
 キュルケからのお手紙に、お返事を書いているのよ」
 リシャールは庁舎での仕事を終えて帰城すると、カトレアがいる事の多い居間でくつろぐ事が多い。
 しかし今日のカトレアは、楽しげな表情でありながらも一生懸命な様子で手紙を書いていた。少しばかり中身が気になるが、親しき仲にも礼儀あり、である。
 そう言えば、自分もマザリーニ宛に手紙を出していたかと思い出す。向こうからの返事がまだ来ていないが、王都往復便に乗って返事が帰ってくるとすれば、もう三日ぐらいはかかる筈だった。
 リシャールは邪魔をするのも悪いかと、控えている侍女に一声かけてから、アニエスを促して居間を出た。
「今日もお願いします、アニエス殿」
「はい、領主様」
 リシャールは、日課と言うほど頻繁ではないが、それでも週に一、二度はアニエスやジャン・マルクに稽古をつけてもらっていた。鍛錬を怠ると義母に見抜かれて小言を貰いそうだから、といった理由が主ではない。……と自分では思っている。

 庭を抜けて、鍛冶場と厩舎のある裏手の広場に向かう。ここは練兵場ではないが、そのように使われていることが殆どであった。
 体をほぐすために、まずは基本の型をいくつか交え、木剣を素振りする。準備運動で違和感を感じるようならば、身体のどこかに異常をきたしていることになるので、疎かにはしない。
 他にも、正しい型を身体に覚えさせることで、同じ一撃一打でも動作の無駄が省けるので威力や速度が向上するとアニエスからは聞いている。我流とは言いつつも、研究熱心な彼女であった。
 女性ながら、素早い技とそれなりに重い一撃を組み合わせた彼女の剣技は、体格があまり立派でないリシャールに向いている。ジャン・マルクは逆に、仮想敵として最適だった。
 素振りを終えた二人は、薄い汗を拭って向き合った。
「よろしいですか、領主様?」
「はい」

「「……いざ!!」」

 木剣の打ち合わさる乾いた音が二つ三つと響き、二人の息が荒く重なる。木剣ではあっても、打ち所が悪ければ大怪我をするから二人の表情は真剣であった。
「右ッ!」
「うっ!?」
 アニエスの剣先がリシャールの手元を狙う。
 咄嗟に身を引くリシャールに、更なる追い打ちがかかった。
「脇が甘い!」
 訓練中はアニエスも言葉遣いを改めない。リシャールも緊張感が必要と、それを認めていた。
 魔法も実剣も使わない訓練ではあるが、リシャールは実戦経験豊富なアニエスの持つ技量と無形の圧力故に、アニエスには成長期であるリシャールの伸びしろ故に、お互いある種の緊張感が常につきまとっている。
「反撃はどうした!」
「はい!」
 リシャールは左に回り込みながら握りを持ち替え、突きを狙った。
 しかしアニエスは完全にそれを見切り、体を捻って正確に切っ先をはたき、更にはリシャールの剣が浮いたところをはじき飛ばしてしまった。
「うわっ!?」
「勝負あり!」
 剣が手から離れたと思えば、既にアニエスはリシャールの喉元にぴたりと木刀の切っ先を宛っていた。最早、両手を上げて降参するしかない。
「また同じ手にやられてしまいましたね。
 突きならば、速度が勝ると思ったんですが……」
 一瞬の内に千変万化するアニエスの素早い剣捌きに対しては、今のところリシャールには対抗手段がなかった。ただ、この技はアニエスにとっても伝家の宝刀に類するものらしく、彼女は弟子たるリシャールの成長を喜びつつも渋い顔をしていた。
「いえ、お見事です、領主様。
 私も領主様をお相手とする訓練で、この秘技を使わざるを得ないことが多くなって参りました。
 油断さえなければ、並の相手ならばそう心配せずとも宜しいかと」
「……最大の壁たる義母が並の相手ではないので、素直に喜べないところが困りものですね。
 力不足を痛感していますよ」
 本来メイジは魔法で戦うのだが、剣技の訓練は幾つかの要素から、リシャールには必要不可欠なものとなっていた。
 一つには魔法剣の扱いに長けた義母との手合わせへの対策であり、一つは膂力と体力が並程度であるリシャール自身の身体を鍛えるためであった。
 更には土メイジであることが、剣の技そのものを必要としていた。火メイジ風メイジならば、自らの魔法技に直接磨きをかけるべきであろうが、リシャール最大の攻撃力たる武器を持ったゴーレムの動きをより洗練したものにしようとすれば、武器の扱いに習熟することはとても有意義なことなのだ。ゴーレムに使わせるのは槍や戦斧でも良かったが、軍杖にブレイドをまとわせて自らが剣技を振るうことを考えれば、無難な選択とも言える。
 別に騎士を名乗ろうと思ってはいないので、ここまで鍛える必要があるのかと自問自答することも多いが、義母の顔を思い出すだけでそれらは雲散霧消してしまう。ちらりと名誉騎士隊長の話を思い出すが、あれはまた別だ。
「もう一本、お願いします」
「はい」
 それに、体を動かすことそのものは嫌いではない。
 執務で溜まったストレスの解消にも、丁度良いのだ。

 半刻ほどアニエス相手の鍛錬を繰り返した後、リシャールは彼女を連れて鍛冶場へと向かった。
 鍛錬の他に、彼女にはもう一つ頼み事をしてあるのだ。
 壁際の試作品を置いた棚の中から、握りだけはまともだが、なまくらな刃の付いた剣を数本取り出す。
「こちらをお願いします。
 昨日アニエス殿に試してもらった意見を参考に、幾らか調整してみました」
「はい。では、失礼して……」
 片手の『亜人斬り』はソード様の片手剣であるが、アニエスに手渡したのは、サーベル様の片手剣の原型であった。長さは七十サントから百サントと様々だったが、『亜人斬り』よりも軽く、レイピアよりは強度のあるものを目指している。
 今は使いやすさに重きをおいて、重心の位置を模索している段階であった。
 アニエスはまじめな顔でそれらを受け取り、表に出ていった。すぐに、剣先が風を切る音が聞こえてくる。
 それを聞きながらリシャールは炉に火を入れ、鍛冶仕事の準備を始めた。最近は執務で一日が終わることも多いので、今日のように魔法の行使が少なかったと感じたときなどに、魔法をより多く使った錬金鍛冶を心がけることにしていた。わざわざ苦手な風の魔法を使ったり、手で行えばすぐにすむ作業にもゴーレムを生成して作業に当たらせたりと、魔法の無駄遣いをすることで魔力を鍛えているのだ。
 しばらくして戻ってきたアニエスの意見を聞きながら、杖を片手にサーベルの調節を行う。先の話し合いと調整の結果、形状は出来合いのサーベルと大差ない物で、少しばかり厚い刃身にして実戦向きの品を仕上げる予定であった。
 魔法がかかっているだけで十分上物ですとアニエスは苦笑していたが、『亜人斬り』の作者でもある手前、そうも言えないリシャールである。並品は並品で作るのは楽であるし、需要も大きい。しかし良い品には高値がつくから、手間と暇のバランスを考えてリシャールは鍛冶仕事に精を出していた。
「そう言えば、銃の方はどうです?」
「はい、この新型銃把は使い物になると思います」
 リシャールは、城の警備隊に新型の短銃を支給していた。アニエスとジャン・マルクにだけは、その秘めたる性能である咄嗟射撃時の安定性のこともこっそりと伝えてある。それとなく訓練にも活かされているはずだった。
「ただ、威力はもう少し大きい方が、私としては嬉しいです。
 狙いやすく、撃ちやすくなったおかげ、でもありますが」
「しかし、威力が大きく……となると、口径を大きくするか、火薬量を増やすか……。
 うち領軍も警備隊も、マスケット銃との共用を考えて短銃も二十番ですから、口径は大きい方ですよね?」
「はい。
 しかし当然ながら威力はマスケット銃よりも低く、一撃での確実な必殺を望むには、少し心許ないのです。
 もちろん過量の火薬を装填して威力を上げることも出来ますが、万一の暴発も可能性が高く……戦場ではあまり問題にはなりませんが、護衛役が使うには不向きであります」
 番数は、二十番ならば一リーブルの二十分の一の重さの弾丸を使用する銃の口径、およびその弾丸そのものを示す単位で、直径一・五サント強ほどだ。トリステインの王軍が採用しているマスケット銃とも共通で、短銃では少し大きめの口径となる。
 十六番や十二番と言った大きな口径のマスケット銃もあるが、口径が大きくなれば威力は大きくなるものの、銃自体も大きくなり取り回しも難しくなるから、一部を除いてそれほど好まれてはいなかった。
 逆に短銃では二十四番やそれ以下の、撃ちやすさや小型化を意識したものが多い。こちらは室内での戦闘や、支援部隊の自衛用として使われることが前提であり、同じ口径でもマスケット銃に比べて火薬の定量は少なく、威力も低かった。
「なるほど。
 弾丸は元から大きめですから、火薬の定量を多くする方がいいかな……。
 通常型銃把のものは別にして、いや、試作だけは……ああ、失礼。ともかく、フロラン殿に伝えておきます。
 他にも要望があれば、まとめておいて下さい」
「は、ありがとうございます」
 色々と余計なことを考えそうになったが、それを振り払う。いま作ろうとしているサーベル同様、実際にそれを使う者の意見は無視できないものだろうなと、リシャールは頷いた。

 新たな短銃の試作を指示してより数日、暦では九番目の月にあたるラドの月を翌々日に控えた月末のこと。
 あれこれと忙しくしながらも、普段通りと言っていい生活を送っていたリシャールの元に、王都からの便とともにマザリーニよりの返事が戻ってきた。何故か二通あるが、先に一通、封を切って読み進める。
「あー……」
「どうかしたの、リシャール?」
 遠慮がちに聞くカトレアに肩をすくめ、大丈夫と苦笑してから手紙に目をやる。
 マザリーニからの手紙は、リシャールでは少々難解な古風かつ聖職者らしい言い回しによって彩られていたが、要約すれば、是非とも貴殿には法と信仰の守護者を引き受けて欲しいと言ったようなことが書かれてあった。どう読み返してみても、名誉職ではなく、本物の騎士隊長の方を推してある。
 とどめに、骨董的な価値も感じ入るほどに細かな細工が施された古い聖印と、懐の隠しに入るサイズながらこれまた見事な箔押しで飾られた聖典まで贈られては、どうしようもない。信仰上の理由だけで、ここまでの後押しをするマザリーニではないだろう。
 国教と規定されているわけではないが、トリステインでは貴族も平民もすべからくブリミル教徒であり、リシャールが騎士隊長を引き受けたとて、現在のところトリステイン王国に不利益があるわけではない。ブリミル教、いやロマリアにとってもセルフィーユ司教区にとっても、内実はどうあれ、リシャールは新しい司教区に大聖堂を新築して寄進するほど信仰の厚い領主として扱われている。ロマリアの騎士には実も名誉もある聖堂騎士隊の隊長職とは言え、トリステインの片田舎へと派遣しようにも、一会派が丸ごと押さえているような司教区へと派遣されたい騎士はいないという実状もあった。
 そして大事なことだが、名誉はともかく、周囲からのやっかみや騎士団長としての責務などは、あくまでもリシャール個人に関わるもので、国家とブリミル教には目立つ不利益がないのだ。これではマザリーニが反対するはずもない。
 相談する相手を間違えたかも知れない。いや、少なくとも、最初に相談すべき相手ではなかっただろう。
 聖印と聖典を見比べてリシャールは大きなため息をつき、後回しにしていたもう一通の手紙を読み始めた。
「……あー」
 先ほどの手紙を開けた時と同じように、ため息をつく。そのうち、ため息で部屋が埋まるかもしれない。
「……ほんとに、どうしたの?」
「あー、うん。
 またしばらくセルフィーユを空けることになりそうなんだ」
「王都? マザリーニ宰相のお呼び出し?」
「……王都にも行くけど、目的地はアルビオンだよ」
 そちらの手紙には、来月半ばにアルビオンへと向かう外交使節団の特使に、リシャールが内定したと記されていた。






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